後遺症の痛み治療について

脊髄を損傷して、下半身の運動機能が麻痺してしまったことは一番の後遺症なのですが、それ以外にもRYUには後遺症が出てきました。
受傷後すぐではなく、しばらく経ってから出てきたのが「疼痛」、痛みでした。
ちょうど、感覚があるところとなくなるところの境目あたり、おへその下から足の付け根の辺りでしょうか。
RYUいわく、長い間、正座をしていたあとの、ものすごくひどい、痺れのような痛みを感じるらしいです。
脊髄損傷を受けた方の中には、結構こういったしびれるような痛み、疼痛を感じる方がいらっしゃるようです。痛みのひどさには個人差があると思いますが。
その痛みは少しずつ、でも確実に強く、痛む時間は長くなってきて、退院して社会復帰を果たしてからはRYUの悩みの種でした。
そして怪我をしてまもなく3年になろうかという頃には、激しい痛みで夜は眠れず、車を運転するのも危険になるほどになってしまいました。
ようやく取り戻しつつあった日常生活を、痛みがまたもや奪ってしまおうとしていました。
なんとか夜眠れるようになるよう、様々な治療を試しました。それらを簡単にご紹介します。
神経ブロック  痛みの原因となる知覚神経や運動神経、交感神経の異常な緊張や興奮を取り除き、その神経が支配している領域の痛みを断ち切る治療法。ペインクリニックなどで行います。
ブロック針(注射針の一種)の先端を特殊な手法で神経やその近くに導き、そこへ薬液を注入するというのが一般的な方法らしいです。
効果  最初のうちは打った後、痛みが軽減していたようですが、何度か行うと効果が薄れてきました。なので、数回施術してもらい、止めました。
薬液などの副作用は少ないようですが、何度も同じ場所に注射を打つと、癒着が起こり、将来その部分を手術することになったときに、手術が難しくなったりと言うことがあるそうです。


投薬治療
(外用薬)
神経ブロックと平行して行っていたのが投薬治療。

外用薬は写真の暖かい湿布と、痛み止め坐薬。

湿布はずっと継続して現在も使っていますが、坐薬は内服薬を使うようになってから使用を止めています。
効果 外用薬は習慣性や副作用が比較的少ないため、安心して使える気がします。やはり暖めると血行が良くなり、痛みが和らぐようですが、痛み止めの坐薬は気休めのような感じも・・・?
投薬治療
(内服薬)
最初の頃は頭痛などに使う外科的な痛み止めを整形外科から、後に中枢神経に作用する薬を麻酔科から処方してもらいました。
効果 外科的な痛み止めはあまり効果が得られずに、すぐに使用を止めました。麻酔科から出してもらった神経の薬は多少の痛みの軽減があったので、現在も使っています。
ただ、神経の緊張を緩和する作用があるので、RYUには猛烈な眠気の副作用が出ました。なので、現在は寝る前のみに服用しています。


脊髄電気刺激療法
(SCS)
痛みを根本から治すのではなく、痛みが伝わる道筋を邪魔しようというもの。損傷した部分から、脳へ痛みの信号が送られるところに、電気を流して伝わるのを妨げます。
左が背中に入れる電極。右が電力の発生を操作するリモコン。大きさ比較に携帯を並べてみました。

リモコンは、おなかのところに埋め込んだペースメーカーのような装置に外からくっつけて操作するものです。
病院でタイマー設定することも出来るし、このリモコンで電源を入れたり切ったりすることも出来るし、
電力の強さを調節することも出来ます。

この治療のいいところは前もってこの治療の効果を試すことが出来る、というところです。

上のように装置まで埋め込む手術を受ける前に、背中から電極だけを差し込んで電気を流し、痛みに効果があるかどうかのみを確認することが出来ます。
効果があれば電気発生装置を埋め込む手術をしてもらい、効果がなければ電極を引き抜くだけ。

なので、効果が無かった場合は背中に小さな点ほどの傷が残る程度で、
この手術によって状態が悪化してしまうという、デメリットが極端に少ないのです
効果 この治療はRYUには効果的でした。
痛みが脊髄損傷部分から脳へ伝わる途中に、この電極が電気を発生させて伝わるのを邪魔してくれる。それによって伝わる痛みが100から30ほどに減りました。

入院期間は、お試しをするのであれば2週間、一度で電気発生装置を埋め込んでしまうなら1週間から十日ほどになると思います。


治療費はかなり高額でしたが、高額医療費として戻ってくるのと、障害者手帳を持っている方であれば、住んでいる自治体で医療助成が受けられると思いますので、実質は部屋代と食事代などの実費負担になると思います。

ただ・・・日常生活を過ごすぶんには問題がないのですが、RYUはバスケとテニスをしています。激しい運動をすると、背中に入れた電極が断線してしまうことが判明しました。
なので、3年も経たずに電極を抜いてもらうことになりました。痛みを我慢するか、スポーツをあきらめるかの選択でした。

2010年現在で、もう少し強度の高い電極の開発が進められているそうなので、また治療に使われるようになったら考えたいと思います。

そのほか、2010年8月現在、鍼灸治療を試しています。またしばらくしたら結果を掲載したいと思います。

inserted by FC2 system